○彦根愛知犬上広域行政組合監査基準
令和2年3月31日
組合監査訓令第1号
(趣旨)
第1条 この基準は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第198条の4第1項の規定に基づき、法令の規定により監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為の適切かつ有効な実施について必要な事項を定めるものとする。
(監査等の目的)
第2条 監査委員が行う監査、検査および審査(以下「監査等」という。)は、組合の行財政運営の健全性および透明性の確保に寄与するとともに、事務の管理、執行等について、法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的な実施を確保し、もって住民の福祉の増進および行政への信頼確保に資することを目的とする。
(1) 財務監査 法第199条第1項の規定に基づき、財務に関する事務の執行および経営に係る事業の管理について、法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織および運営の合理化に努めているか監査することをいう。
(2) 行政監査 法第199条第2項の規定に基づき、財務監査のほか、監査委員が必要があると認める事務の執行について、法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織および運営の合理化に努めているか監査することをいう。
(3) 直接請求監査 法第75条の規定に基づき、選挙権を有する者の総数の50分の1以上の者の連署をもって請求があった事務の執行について、法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織および運営の合理化に努めているか監査することをいう。
(4) 議会の請求監査 法第98条第2項の規定に基づき、議会の請求があった事務の執行について、法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織および運営の合理化に努めているか監査することをいう。
(5) 長の要求監査 法第199条第6項の規定に基づき、管理者の要求があった事務の執行について、法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織および運営の合理化に努めているか監査することをいう。
(6) 財政援助団体等監査 法第199条第7項の規定に基づき、監査委員が必要があると認めるとき、または管理者の要求があるときに、組合が補助金、交付金、負担金、貸付金、損失補償、利子補給その他の財政的援助を与えているもの(出資しているもの、借入金の元金または利子の支払を保証しているもの、組合が受益権を有する信託の受託者および公の施設の管理を行わせているものを含む。以下「財政援助団体等」という。)に係る出納その他の事務の執行が、当該援助等の目的に沿って行われているか監査することをいう。
(7) 指定金融機関等監査 法第235条の2第2項の規定に基づき、監査委員が必要があると認めるとき、または管理者の要求があるときに、指定金融機関等が取り扱う公金の出納事務について、正確に行われているか監査することをいう。
(8) 住民監査請求監査 法第242条の規定に基づき、住民が組合の職員等が行った財務会計上の行為または怠る事実について、違法または不当であるとして監査等の請求を行った場合において、当該請求に理由があるか等を監査することをいう。
(9) 職員賠償責任監査 法第243条の2の2第3項の規定に基づき、職員が組合に損害を与えた事実があるとして、管理者が監査および賠償責任の有無等の決定を行うよう請求を行った場合において、当該事実があるか監査することをいう。
(10) 例月現金出納検査 法第235条の2第1項の規定に基づき、会計管理者等の現金の出納事務が正確に行われているか検査することをいう。
(11) 決算審査 法第233条第2項の規定に基づき、決算およびその関係書類が法令に適合し、かつ、正確であるか審査することをいう。
(12) 基金運用状況審査 法第241条第5項の規定に基づき、基金の運用の状況を示す書類の計数が正確であり、その運用が確実かつ効率的に行われているか審査することをいう。
(13) 健全化判断比率等審査 地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号)第3条第1項および第22条第1項の規定に基づき、健全化判断比率および資金不足比率ならびにそれらの算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ、正確であるか審査することをいう。
(服務)
第4条 監査委員は、高潔な人格を維持し、誠実に、かつ、この基準に則ってその職務を遂行するものとする。
2 監査委員は、独立的かつ客観的な立場で公平不偏の態度を保持し、正当な注意を払ってその職務を遂行するものとする。
3 監査委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らし、または他の目的に利用してはならない。その職を退いた後も、同様とする。
4 監査委員は、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有することが求められ、その職務を遂行するため、自らの能力の向上と知識の蓄積を図り、その専門性を維持および確保するため研鑽に努めるものとする。
(指導的機能の発揮)
第5条 監査委員は、第2条の目的を果たすため、監査等の対象組織に対し、適切に指導的機能を発揮するものとする。
(リスクの識別と対応)
第6条 監査委員は、必要に応じて監査等の対象に係るリスク(組織目的の達成を阻害する要因をいう。以下同じ。)を識別し、そのリスクの内容および程度を検討した上で、効果的かつ効率的に監査等を実施するものとする。
(内部統制に依拠した監査等)
第7条 前条のリスクの内容および程度の検討に当たっては、必要に応じて内部統制の整備状況および運用状況について情報を集め、判断するものとする。
2 監査委員は、監査等の種類に応じ、内部統制に依拠する程度を勘案し、適切に監査等を行うものとする。
(質の確保)
第8条 監査委員は、この基準にのっとってその職務を遂行するに当たり、求められる監査等の質を確保するものとする。
2 監査委員は、その事務を補助する職員に対して、適切に指揮および監督を行うものとする。
3 監査委員は、監査計画、監査等の内容、判断の過程、証拠および結果その他監査委員が必要と認める事項を監査調書等として作成し、保存するものとする。
(証拠の入手)
第9条 監査委員は、監査等の結果を形成するため、必要な証拠を入手するものとする。
2 監査委員は、前項の証拠を評価した結果、想定していなかった事象もしくは状況が生じた場合または新たな事実を発見した場合には、適宜監査等の手続を追加して必要な監査等の証拠を入手するものとする。
(監査計画)
第10条 監査委員は、監査等を効率的かつ効果的に実施するため、必要に応じてリスクの内容および程度、過去の監査結果、監査結果の措置状況、監査資源等を総合的に勘案し、監査計画を策定するものとする。
2 監査計画には、監査等の種類、対象、時期、実施体制等を定めるものとする。
3 監査委員は、監査計画の前提として把握した事象または状況が変化した場合には、必要に応じて適宜、監査計画を修正するものとする。
(監査等の実施手続)
第11条 監査委員は、十分かつ適切な監査等の証拠等を入手するため、必要に応じて監査等の対象に係るリスクを識別し、内部統制の整備および運用状況の有効性を評価し、そのリスクの内容および程度を検討した上で、監査計画に基づき、最も合理的かつ効果的となる監査等の手続を選択し、実施するものとする。
(各種の監査等の有機的な連携および調整)
第12条 監査委員は、各種の監査等が相互に有機的に連携して行われるよう調整し、監査等を行うものとする。
(監査専門委員等との連携)
第13条 監査委員は、必要に応じて監査専門委員を選任し、必要な事項を調査させることができる。
2 監査委員は、監査等の実施に当たり、監査等の対象組織の内部監査人、監査役、監事、外部監査人等から必要に応じて情報収集を図るものとする。
3 監査委員は、監査等の実施に当たり、効率的かつ効果的に実施することができるよう、監査専門委員等との連携を図るものとする。
(監査または検査の結果に関する報告等の作成および提出)
第14条 監査委員は、監査(住民監査請求監査を除く。)または検査を終了したときは、結果に関する報告を議会、管理者および関係のある委員会または委員に提出するものとする。なお、監査(指定金融機関等監査、住民監査請求監査および職員賠償責任監査を除く。)の結果に基づいて必要があると認める場合は、結果に関する報告に添えて意見を提出するとともに、当該報告のうち特に措置を講ずる必要があると認める事項については、勧告することができる。
2 監査委員は、審査を終了したときは、意見を管理者に提出するものとする。
(監査等の結果に関する報告等への記載事項)
第15条 監査等の結果に関する報告書等には、原則として次に掲げる事項その他監査委員が必要と認める事項を記載するものとする。
(1) この基準に準拠している旨
(2) 監査等の種類
(3) 監査等の対象
(4) 監査等の着眼点および評価項目
(5) 監査等の実施内容
(6) 監査等の結果
(13) 健全化判断比率等審査 健全化判断比率および資金不足比率ならびにそれらの算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ正確であること。
4 監査委員は、是正または改善が必要である事項が認められる場合は、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。
(合議)
第16条 監査等のうち、次に掲げる事項の決定は、監査委員の合議によるものとする。
(1) 財務監査、行政監査、直接請求監査、議会の請求監査、長の要求監査、財政援助団体等監査および職員賠償責任監査に係る結果報告および勧告
(2) 住民監査請求監査に関する勧告、通知および意見
(3) 決算審査、基金運用状況審査および健全化判断比率等審査に係る意見
(公表)
第17条 監査委員は、監査等の結果に関する報告等のうち、財務監査、行政監査、直接請求監査、議会の請求監査、長の要求監査、財政援助団体等監査および住民監査請求監査について、次に掲げる事項を、監査委員全員(除斥その他の事由により監査等を実施しなかった監査委員を除く。)の連名で速やかに公表するものとする。
(1) 監査の結果に関する報告の内容
(2) 監査の結果に関する報告に添える意見の内容
(3) 監査の結果に関する報告に係る勧告の内容
(措置状況の公表等)
第18条 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者および監査の結果に関する報告に係る勧告をした者に対し、適時、措置状況の報告を求めるよう努めるものとする。
2 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者および監査の結果に関する報告に係る勧告をした者から、措置の内容の通知を受けた場合は、当該措置の内容を公表するものとする。
3 監査委員は、住民監査請求監査に係る勧告に基づき、議会または管理者等から必要な措置を講じた旨通知があったときは、これを請求人に通知し、かつ、公表するものとする。
(その他)
第19条 この基準に定めるもののほか、必要な事項は、監査委員の合議により決定するものとする。
付 則
この訓令は、令和2年4月1日から施行する。